ラース・フォン・トリアー監督
『奇跡の海』を観た。
正直苦しかった。悲しかった。
私の心を苦しめ、悲しめる女優エミリー・ワトソンの演技は素晴らしかった。
そしてラース・フォン・トリアー監督の演出が素晴らしいと感じた。
役者は監督の作った舞台で十分に力を発揮した。
全てのカットを手持ちで撮る事により映像のドキュメンタリー性が上がり、映像に引き込まれた。
役者の演技を大事にする為に、おそらく1場面1カットで撮り、後で編集しているのだろう。
全てが生きた映像に感じた。
話の場面を章で区切り、区切りには、手ぶれのない絵画的映像で場面を表現していた部分も面白いと感じた。
この映画で最も感じたことは、
映像の中では役者とカメラは同期していないといけない。
役者もカメラもその場の出来事を感じる事が生きた映像に繋がるのだと思う。
ラース・ファン・トリアー監督の映像表現に驚かされたが、
ストーリーは少し賛否の別れそうな内容であった。
一つ批判をするとストーリーが強引な気がした。
瀕死になった夫の妻に対する姿には、違和感を感じた。
賛否の一番の争点は
夫の為に自分を犠牲にする妻の姿は、愛と語りながら、第三者からは善意であったと語られていたことである。
彼女の行動は愛からなのか?善意からなのか?
答えのない議論ではある。
しかし主人公の犠牲の心は何か懐かしいものを感じた。
はたしてこの犠牲の心は尊い人間の姿と云えるのだろうか?
私がこのことを考えている時点で、私にとってこの映画は魅力があるということだろう。
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